[ルール]ステップ要素/コレオグラフィックシークェンスとは

コレオグラフィック・シークェンスとは?

コレオグラフィック・シークェンスとは、シニアのフリー・スケーティングでのみ行われる、あらゆる種類の動作から構成される要素(エレメンツ)です。コレオグラフィック・シークェンスには、レベル判定が無く固定された基礎点が与えられ、GOEのみで評価されます。ISUでは下記のように明記されています。

  • ステップターンスパイラルアラベスクスプレッド・イーグルイナ・バウアーハイドロブレーディング、最大2回転までのあらゆるジャンプ、スピンなどあらゆる種類の動作から、コレオグラフィック・シークェンスは構成される。
  • コレオグラフィック・シークェンスに含まれるリストにある要素はコールされずボックスを占めない。
  • パターンは制限されないが、シークェンスがはっきりと分かるものでなければならない。
  • テクニカル・パネルは、コレオグラフィック・シークェンスが最初のスケーティング動作で始まり(そのコレオグラフィック・シークェンスがプログラムの最後の要素でない場合)次の要素の準備により終了したと判断する。
  • コレオグラフィック・シークェンスは、ステップ・シークェンスの前後いずれに行ってもよい。
  • コレオグラフィック・シークェンスは、シニアのフリー・スケーティングに含まれる。
  • この要素には固定された基礎値があり、ジャッジのGOEのみで評価される。

コレオグラフィック・シークェンスは、2012年シーズンから始まった要素(エレメンツ)です。それ以前は、コレオ・ステップ(男子)とコレオ・スパイラル(女子)が存在していました。

コレオグラフィック・シークェンスに使用される様々な動作

ステップ、ターン、スパイラル、アラベスク、スプレッド・イーグル、イナ・バウアー、ハイドロブレーディング、最大2回転までのあらゆるジャンプ、スピンなどあらゆる種類の動作から、コレオグラフィック・シークェンスは構成されています。

ステップ

左右の足を踏み替えながら進んだり方向転換を行うのがステップです。

フィギュアスケートの競技会で認められているステップの定義は、トウステップシャッセモホークチョクトウエッジの変更クロスロールの6種類になります。

ターン

インサイドエッジアウトサイドエッジを様々な形で使用し、片足だけで方向転換を行うのがターンです。

フィギュアスケートの競技会で認められているターンの定義は、ツィズルブラケットループカウンターロッカースリーターンの6種類になります。

スパイラル

スパイラルは、フリーレッグを腰より高い位置にキープして滑る動作を指します。スパイラルは、インサイドエッジアウトサイドエッジかといったエッジの違い、さらフリーレッグのポジションにより細かく区別されます。

アラベスクスパイラル

フリーレッグを後方に上げ上体を前に倒す動作を、バレエではアラベスクと呼びます。そんなアラベスクと同じように、フリーレッグを後方に上げ上体を前に倒す姿勢で行うスパイラルを、アラベスクスパイラルと呼びます。最も基本的なスパイラルポジションの一つです。

アラベスクスパイラル

ケリガンスパイラル

アラベスクの姿勢からフリーレッグの膝のあたりを手でキャッチした変形姿勢を、ケリガンスパイラルと呼びます。アメリカ人女子選手のナンシー・ケリガンが得意としていたスパイラルポジションだったためです。

ケリガンスパイラル

ビールマンスパイラル

ビールマンスピン同様に、フリーレッグを背中から頭上に伸ばし、手で伸ばしたフリーレッグを掴んだビールマンポジションで行うスパイラルを、ビールマンスパイラルと呼びます。

ビールマンスパイラル

クロスグラブスパイラル

フリーレッグと反対の手(左足がフリーレッグなら右手)でフリーレッグをキャッチして行うスパイラルを、クロスグラブスパイラルと呼びます。ビールマンスパイラルでクロスグラブを行う場合は、クロスグラブビールマンスパイラルと呼びます。

クロスグラブスパイラル

ファンスパイラル

軸足がバックサイドエッジにのっている状態でフリーレッグを腰の高さより上げて行うスパイラルを、ファンスパイラルと呼びます。最も基本的なスパイラルポジションの一つです。

ファンスパイラル

Y字スパイラル

Y字スピン同様に、フリーレッグを高く持ち上げ、体がアルファベットの「Y」の字に見える状態で行うスパイラルを、Y字スパイラルと呼びます。

Y字スパイラル

シャーロットスパイラル

上体を支持足まで折り曲げて、フリーレッグをあげ、一直線のような状態で行うスパイラルを、シャーロットスパイラルと呼びます。

シャーロットスパイラル

スプレッド・イーグル

両足を伸ばした状態で180度に広げ、つま先を外に向けて開いた状態で滑っていく動作をスプレッド・イーグル、またはイーグルと呼びます。イーグルをしながら両手を広げて滑る姿がワシに似ているのが語源という説が有力です。腰が折れたり、お尻が突き出たりしない姿勢が美しいスプレッド・イーグルの姿勢です。

イーグル

イナ・バウアー

片足を曲げて前に、片足を伸ばした状態で後ろに引いて、横方向に滑る動作をイナ・バウアーと呼びます。イナ・バウアーはスプレッド・イーグルの変形です。

荒川静香選手が得意技として有名になったイナ・バウアーですが、荒川静香選手の場合は背中を大きく反らせるバリエーションが加えられており、正確にはレイバック・イナ・バウアーと呼びます。

イナ・バウアー

ハイドロブレーディング

エッジを深く倒して体を非常に低い姿勢でほとんど水平に伸ばして滑る動作をハイドロブレーディングと呼びます。羽生結弦選手が得意としているハイドロブレーディングは、膝を十分に曲げてバックインサイドエッジの上に体を載せて弧を描き、フリーレッグはスケーティングレッグの後ろ側からクロスさせて描く弧の外側に伸ばすスタイルのハイドロブレーディングです。

ハイドロブレーディング

コレオグラフィック・シークェンスのプロトコル明記方法

プロトコルには、下記のように明記されています。コレオグラフィック・シークェンスには、レベル判定が無く固定された基礎点が与えられ、GOEのみで評価されるので、プロトコルの略記号はすべて同じ表記となります。

コレオグラフィック・シークェンス

コレオグラフィック・シークェンス要素の評価明確化

コレオグラフィック・シークェンス要素の評価判定は、下記内容で明確化されています。

コレオグラフィック・シークェンスのコールの仕方 コールは(シークェンスがカウントされる場合)、「コレオ・シークェンス・コンファームド」となり、逆にカウントされない場合、コールは「コレオ・シークェンス・ノーバリュー」となる。
リストにあるシングルおよびダブル・ジャンプ コレオグラフィック・シークェンスに含まれるリストにあるシングル・ジャンプおよびダブル・ジャンプは、コールされず要素のボックスを占めない。
2回転より回転数の多いジャンプ 2回転より回転数の多いジャンプはコールされ数えられる。コレオグラフィック・シークェンスはこのジャンプが行われた時点で終了する。
スピン コレオグラフィック・シークェンスに含まれるいかなるスピンもコールされず要素のボックスを占めない。
パターン いかなるパターンも許されるが、シークェンスがはっきりと分かるものでなければならない。
ステップ・シークェンスとコレオグラフィック・シークェンスの順序 シニアのシングルのフリー・スケーティングでは、ステップ・シークェンスとコレオグラフィック・シークェンスの順序は任意である。